環境デザインは現在、東京から北海道 道南に拠点を移し、住宅・店舗商業施設etcの設計・監理を手掛ける空間設計事務所です。
Project アイディア04 エイジフリーの提案
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健康家族の住まいは整理整頓された、清潔な住宅なのです。
色々な物で装飾し、飾り付けるのではなく、日々の「掃除」なのです。
お金をかけずに健康住宅になれる、大きな力になる行為なのです。
これは全ての基本の源なのです。

現在の日本における最も重要なことである「少子高齢化」を建築の住宅分野から考えてみましょう。

高齢化社会になると言うことは、現在40歳の方の両親は65〜70歳くらいでしょう。
その両親がこれから先5〜10年後になった時の状況を想定して下さい。また、自分がその年になった時の事を想定して下さい。そして、その時に体に軽度の障害があった場合、または軽度の痴呆症があった場合を考えて下さい。
いままで何気なく暮らしてきた、生活してきた家が空間が、とても危ない物へと変わってしまったり、非常に使いずらい不便な物へと変わってしまうのです。
家も人間の高齢化に対応して自動的に変化してくれればなんの問題もないのですが、それは不可能です。
高齢者で重傷な場合はまた別の問題になりますが、軽度の高齢者の場合の状況想定を考えると、
夫婦2人またはどちらか1人が軽度の障害の場合と、夫婦2人またはどちらか1人が軽度の痴呆症の場合を考えて計画する事が重要なのです。まだ若いうち(自分ではまだ若いつもりでも高齢者の仲間になっている事を理解して)に将来の自分の高齢化住宅、両親の高齢化対応住宅について考えて下さい。
その時になってからでは問題が大きくなってしまいます。出来る時から、出来る事を少しずつでも対応していく事が良いと思います。

私達の年代(50代)の方々は、まさにいま直面している深刻な問題なのです。
実際に高齢といわれる方が「今はまだ元気だから自由に生活して、動けなくなったら同居したい、面倒を見てもらいたい」と安易に言う事が問題なのです。(自分ではまだ若いつもりでいても、元気でいても、現実に高齢者の仲間になっていることを理解して対応しなければいけません)。

老若男女及び世代年齢に関係なく、それぞれが共に快適に過ごせるように考えた空間造りをしていきましょう。
それこそが「健康家族の健康住宅」の基本なのです。

少々難しいのですが、「エイジフリー住宅」は介護住宅でも身障者住宅でもないのです、一歩手前の段階の住宅と理解していただくと分かり易いでしょう。

私の経験上から提案する形は、高齢対応をした「エイジフリー住宅」から、その時の状況に合わせて多少のリフォームや改築で介護支援住宅へと移行が出来るようにしておく事が精神的や金銭的に有利につながると思います。(けっして一概には言えませんが)





平面図
★☆平面構成一般概要☆★

実際の施工例を取り上げて少々おはなしをします。
このパターンは東側の和室と納戸(蔵)を残して2階建てを平家に変更する全面改築工事でした。

[施主の要望項目]
♪現在高齢だが、これから先介護される場合を考えて生活がしやすいようにして欲しい。(車椅子での移動も考えて)
♪来客中でもトイレや入浴に支障がないような間取りにして欲しい。(お手伝いさんの部屋を確保)
♪生活備品類が非常に多いので収納庫、物入れを出来る限り多く造って欲しい。
♪トイレは仕切りをなく男女共用にして、応接と和室専用のトイレを個別に設置して欲しい。
♪寝室は別々に、共用の洗面化粧台を設置、将来の介護を想定して仕切りを取り除きワンルームに出来るように考えて欲しい。
♪車椅子を想定して玄関とホールは出来る限り広く、玄関にはベンチを造って欲しい。
♪玄関ホールに美術品を展示したいのでスペースを確保して欲しい。
♪トイレまでの通路照明を自動にして欲しい、建物全体に防犯用セキュリティーをして欲しい。
♪浴室は広く、窓も広くして欲しい。要所に手摺を設置して欲しい。(全部はいらない)

以上の要望を考えて最終的に下記内容のプランになりました。(上記プラン図)

[最終決定内容]
◆玄関には段差解消のベンチと手摺を配置、ホールにはご要望のショウケースを配置して趣味の美術品の展示室としました。
◆応接間は1面を全収納にして全てを格納しました。出入り口は障子にして全体の雰囲気を和らげるようにしました。
◆居間とダイニングキッチンをずらして、身内の来客時にも個々のスペースのプライバシーに対応した配置にしました
◆通路幅を出来る限り1050mm取り、将来の車椅子にも対応。
◆さらに殆どの室内の建具は引戸で一部自閉式引戸を配置しました。
◆暖房は3缶式ボイラーで要所にパネルヒーター設置して温水暖房をしました。
◆しかしながら居間だけはFF暖房機を設置して補助暖房を取っています。

◆キッチンは単体L型システムキッチンと収納庫、備品庫を並列配置し全体的にL型構成にして動線対応しました。
◆コンロがガスを使用したいとの事なので、暖房計画上もあり、オール電化にはしませんでした。

◆室内の換気は各室個別にセンサー感知式熱交換換気扇を配置し、冷暖房効率を上げました。
◆集中換気の場合どうしても個々の部屋の汚れに差が出てしまうために更に個別換気が必要になってしまいます。
◆少々予算オーバーになりますが個々にクリーンな室内環境が造れます。(逆に安くなる場合もあります)
◆トイレは要望通り小便器と大便器を並列設置して簡易仕切りをつけ介護にも支障のないようにしました。
◆便器は自動洗浄式にして、換気と照明はセンサー処理にて高齢に対応。

◆浴室は引き戸式の1.25坪のユニットバスを配置して追い炊き対応、洗面脱衣スペースも各方向からの出入りに対応しました。
◆玄関ドアはオートロックでインターホン対応処理。開口部はセキュリティー処理にて防犯に対応。(将来の高齢対策)
◆全体のデザイン性を欠く事なく各スペースのプライバシーと機能性を重視したエイジフリー構成になりました。

このように元気な内に事前対応する方は、まだなかなか少ないのです。
将来を踏まえて今から計画しておくことはとても大事なことだと思います。



様々なプランの中から自分に合った住まいプランを考える上で、将来の生活状況(家族!?)をよく考えて、新築の場合は平屋建、2階建、3階建にするのかを決めましょう。また、改築の場合は自分が高齢になった時のことをよく考えて計画しましょう。
小さな事ですが、若いうちは殆ど気にせずに使っていた「開きドア」も身障者や高齢者になった時には非常に不便に感じるものなのです。老若男女に関わらず「洋風引き戸」形式の方が介護などを考えた場合とても有利になることも多少考えて決めましょう。

家庭を築き、家族が成長していくのと同じように「家」も長い時間をかけて成長していくものなのです(マンションでも同じです)

焦らずにじっくり時間をかけて考えていきましょう。
私たちもじっくりお付き合いしますので、安易な物に安易にとびつかないようにして下さい。

私たち建築家は御客様の「健康住宅建設計画」にとっての最高アドバイザーなのですから、不安がらずに信頼しておまかせ下さい。
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